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2023.06.22
家づくりコラム
地震に強い家
多くの住宅メーカーが謳っている耐震性。
その根拠となっている耐震実験ですが、多種多様な現実の住まいに適用出来ているとは限らないことをご存知でしょうか。
本当に「地震に強い家」とは、一棟ごとに合わせた「構造設計」が確実に行われている家なのです。6つのポイントをご紹介します。
1.耐力壁
建物は、真上からの衝撃には耐えられますが、揺れや強風による横からの衝撃には弱い一面があります。
「耐力壁」はそれを補うための構造で、強度を示す「壁倍率」が高いほど強いことを意味します。
2.重心と剛心
建物の中心を「重心」、そして建物が持っている強さの中心を「剛心」と呼びます。地震などが発生して建物に水平の力が加わると、そのパワーは重心に最も強く作用します。しかし建物の一番強い部分は剛心であるため、重心と剛心の距離が離れていると「ねじれ」が生じて建物に想定以上の損傷を与えることがあります。重心と剛心の距離(偏心距離)を近づけることでリスクを減らすことが出来ます。
3.直下率
直下率とは、1階と2階の柱や壁の位置が一致する割合を示した指標です。
柱の直下率を「柱直下率」、耐力壁の直下率を「壁直下率」と呼び、この数値が低いと構造の安定性に影響が出ると言われています。
全体的な直下率が高くても、部分的に低くなっていると(偏りがあると)、そこに問題が生じるケースもあります。
耐震性を高めるためには、どの部分を検証しても数値が高く保たれていることが大切です。
4.モノコック構造
モノコック構造とは、床・壁・天井の6面すべてが一体となる構造体のこと。
一般的な柱と梁、筋交いだけの構造は、外部からの力が各部材の接合部分である「点」に集中しやすい欠点があります。
しかし、6つの面で支えるモノコック構造では、どの方向から力が加わっても「面」でその力を分散するため、地震や台風などの強い力が加わっても建物のねじれを防ぐことができるのです。
5.必ず第三者(専門家)の目で確認を
いくら耐震性の高い家をつくったと思っていても、万が一施工ミスがあった場合、何の意味も成しません。
2016年に起きた熊本地震では、全く倒壊しないとされていた2000年基準の耐震性が適用されていたはずの建物が倒壊する事例が数件発生しました。
その原因とされている1つが、単純な施工不良です。
こうした施工者のミスは第三者機関によるダブルチェックで補うことができます。
6.住宅性能を数値で確認
「住宅性能表示制度」という住まいの性能を分かりやすく「数値化」してくれる制度があります。
この制度を利用することで、耐震等級などを数値(等級)で指定することができ、また指定通りに建設されているかどうか、専門家(第三者)のチェックを受けることが出来ます。
工務店・住宅メーカーを選ぶ際は、「住宅性能表示の設計評価と建設評価の両方を受けているか」を確認するようにしましょう。